現地・現場レポート

中村まちバス(高知県四万十市)

2.サービス概要


(1)利用方法


DSC_0304.JPG運営を行う高知西南交通のオフィスで予約電話を受け付ける「中村まちバス」は、平成12年4月〜6月の3カ月間、実証実験を行った後、平成12年7月から本格運行を開始した。事象主体は四万十市(合併前は中村市)、バス運行を担当するのが高知西南交通(株)である。
路線は旧中村市街地をカバーしており、起点や時刻表はなく、面的に配備された停留所(「需要対応型停留地点」ともいう。既存の27カ所の停留所に「中村まちバス」化に際して28カ所を新設した、合計57カ所)の間を需要に合わせて自由に運行するフルデマンド方式を採用した。“土佐の小京都”とも呼ばれる格子状の道路網が特徴の市街地3km四方のなかを、規定された道路を選んで最長15分程度で運行する。運用上、バスの現在位置追跡が必要となる。

ちなみにデマンド交通には、フルデマンド方式の他、「迂回路方式」(基本ルート以外にデマンド方式の迂回ルートを持つ方式)と「フレックスルート方式」(起終点・需要対応型停留地点は出発時間が設定されていて、経路は自由な運行方法)がある。

利用希望者は高知西南交通のバスセンターに、利用を希望する当日に電話を入れて予約を行う。予約が入った日(時間帯)のみ運転される。運賃は、大人(中学生以上)200円/小人(小学生以下)100円である。
運行時間、予約対応時間とも午前8時30分〜午前11時、午後0時〜午後2時30分、午後4時〜午後6時である。途中、時間が切れているのは、バスの運転手に休憩時間が必要になるためである。担当の運転手を複数体制として通日運行を図るといったトライアルも行われたが、現在ではこの運行に落ち着いている。

・利用方法LinkIcon
・ルートマップLinkIcon


(2)運用


バスセンターで電話の予約を受けるオペレーターは、全員高知西南交通のスタッフである。専任ではないが、できるだけメンバーを固定化して対応してきた。それでも曜日・時間によっては手が空いている人が対応せざるをえないこともある。平成22年度からは、新たにスタッフを雇用して固定化を図る予定である。
運転手は「中村まちバス」専任というわけではなく、あくまでもローテーションの一環であり、日によっては通常の路線バスを運転する。運行面での利用者サービスは、同社の裁量に任せられており、例えば病院施設の停留所で乗降する場合に、体調が芳しくない場合は停車位置を調整するなど、コンプライアンスに注意しながら、臨機応変に対応するようなこともあるという。

「中村まちバス」に使われている車両は、当初も今も低床リフト付きといったバリアフリー仕様ではなく、乗降口にステップを持った一般の路線バスが使用されている(「四万十周遊川バス」だったレトロ調バスも使われている)。ITS実験は「最先端の情報通信技術を用いて人と道路と車両を情報でネットワーク」する実証が求められたのであり、また平成10年当時、高価なノンステップバスを導入できる地方の交通事業者は限られていた。なにしろ交通バリアフリー法の制定は平成12年、国土交通省が「標準仕様ノンステップバス」認証制度を定めて本格的な普及促進の支援に乗り出したのは平成16年のことである。今後に期待したい。


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