現地・現場レポート
中村まちバス(高知県四万十市)
3.システム
高知県道路交通情報ポータルサイト「KoCoRo」より
システムは以下のような要素で構成されている。システム開発はパナソニック(株)(当時は松下電器産業(株))が担当しており、仕様は「中村まちバス」のオリジナルである。
①バス車両設備(車載器+GPSによるバス追跡、LED方向幕。予備車両を含め2台で対応)
②センター設備(データベースサーバ、Webサーバ、オペレーター端末。電話によるデマンド受付、コンピュータによる運行経路選定を行う)
③ネットワーク設備(携帯電話のパケット通信(NTTdocomoのDoPa)を利用してバスと通信。無線もシステムに組み込まれており、停留所等に到着したら運転席に設置されている「到着」ボタンを押してバスセンターに連絡、常に正確な位置把握が可能になっている。これは複数台の運転(つまり予約が多数入った場合)の際に、確実な配車管理につながる機能である。
導入時の事業費(ハード+ソフト)は1.8億円、ランニングコスト(センターのバスの通信費用のみ)は87,000円/月と発表されている。なお、実験終了後、機器類は国から無償で譲渡を受けている。
4.利用状況
(1)利用者数
導入前(7人/日)に比較して利用者はピーク時の平成13年度に約6倍(42.5人/日)、最近でも3倍強の規模がある(平成19年23人)。とはいえ、走っている車両を見ると、普通の路線バスと同じ車両で、空席が余計目立ってしまうこともあり、少人数しか利用していないという印象を与えてしまうそうだ。
絶対数は小さいが、「中村まちバス」化が行われなかった場合、従来の循環バスの運行が維持されたかは疑問であろう。モータリーゼーション、高齢化、郊外化が進むなかでの中心市街地のにぎわい縮小といった問題を考えると、小さな実績でも、健闘していると見るべきだろう。
(2)プロフィール
利用者の約7割が“固定客”で、多くは高齢者、かつ通院利用が大半を占める。問い合わせもほとんどが高齢者からで、「今病院にいるので家まで送って欲しい」、「「○○病院に行けるか」といった内容で占められる。つまり、高齢者の病院への足として定着しているわけだが、この状況はスタート時点から予想できていたという。
利用者数の推移
財務