現地・現場レポート

こま武蔵台(埼玉県日高市)

■感想

クルマ依存→高齢化→運転免許返上→生活範囲の縮小と、消費力低下→大競争→店舗閉鎖→小売衰退→買い物の不自由という“ダブルの停滞”は、2,250世帯・人口5,800人の「こま武蔵台」のみならず、ニュータウン各地で起きている社会問題である。

ただし、過疎地域、限界集落のように、買い物弱者が地域社会そのものの浮沈に関わる共通課題として認知・理解されているのに対して、ニュータウンの場合、やや様相は異なる。住宅一次取得層をメイン・ターゲットに、ほぼ同じ規模や価格帯の住宅を分譲して形成された住宅地ではあるが、個人の生活実態(家族構成、生活力、暮らし方等)はバラバラであり、時間の経過によってさまざまな「事情」が生まれる。

例えば、二世帯住宅として親子世代の同居が可能な世帯もあれば、土地空間や資金に余裕がないため、子供世代は別の住宅を求めてしまう世帯もある。
加齢によって、坂道を歩くのがきつくなる等の住みづらさがあっても、家族のサポートを受けられる環境があれば、住み慣れた町をかんたんに住み替えようとはしない。
こうした「個別事情」が溢れているほど、買い物の不自由に対する解消ニーズもまたバラバラで、基本的には個人の事情だから個人が努力して解決する問題との意識が支配的になり、社会問題としてのランクは上がらない。
恐らく、これがニュータウンの一般的な状況であり、都市部における買い物弱者の状況とも考えられる。

一方、「事情」にそれほど違いがなく、むしろ共有できるような場合は、事態は深刻である。
例えば、分譲時期が短く、ほぼ同じ年齢層、生活スタイル、家族構成の人々が各地から集まって、生活スタイルもほぼ共通しているような、いわばクラスターレスコミュニティが形成されている場合。
分譲当初のまちづくり方針が景気低迷やデベロッパーの倒産等で機能せず、交通や利便施設が一向に整備されず、住宅の価値が急速に失われてしまい(担保価値の下落)、住み替えが極めて難しくなっている等の場合だ。
すなわち、個人の事情を超えた、「まちの事情」を住民誰もが共通して認識しており、生活のバリアに直面している独立性の高い集落(ニュータウン)である。「まちの事情」を代表する今日的課題が買い物弱者ではないだろうか。その解決に微力ながら注力していきたいと思う。



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