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2010年10月12日
第37回「国際福祉機器展 H.C.R」その2
■キャリーナウォーカー
シルバーカーのターゲットは、女性高齢者であり、その歩行補助や買い物支援をコンセプトにしている。価格を抑制するために、実用本位と割り切った製品がほとんどだという(購入層は節約傾向が強い)。このため、見た目はほとんど意識されず開発されている。日々使用するのだから、もうちょっと格好付けてもいいのでは…そう感じる女性ユーザーも増えつつあることが、上記のデザイン性を意識したシルバーカー開発を誘発したようだ。
タカノ(株)の「キャリーナウォーカー」は、徹底してデザインにこだわっている。フィットネスマシンのようだ。ちょっと見ただけでは、高齢者がゆっくりと押しているイメージが湧いてこない。既存のシルバーカーは、高齢女性の利用を意識した分、実用本位で、見た目から男性シルバー層の所有意欲が喚起されないそうだ。男性が使ってもいいと感じる「格好良さ」を追求した結果、収納バッグをオプションにしてまで「歩く喜び」にこだわったという。たくさんの買い物には向いていないが、それがどうした的な強烈なキャラクターを感じた。
■けちってはいけないシューズ
毎日、歩いて買い物に行くのだがとにかく疲れる。歩行中に転倒して骨折、長期療養を余儀なくされる。脱いだり履いたりがしにくく面倒なのでサンダルを愛用している…健康維持のために、靴はけちってはいけない。サイズが合わないまま無理してはならない。このあたりはhttp://www.fha.gr.jp/ashi/index.htmlなどで確認してほしい。
展示会場にもいくつかのメーカーが高齢者や介護者向けの製品を展示していた。面白いのはそのネーミングである。(株)アサヒコーポレーションは「快歩主義」、(株)マツウラは「歩歩笑(ほほえみ)」、(株)ムーンスターの「らくらく」などを確認できた。一方でウォーキング中のひざのトラブル防止機能を搭載した「メディカル・ウォーク」((株)アサヒコーポレーション)のような先進ラインアップの展示も見られた。
■WCV(ホイールチェアビークル)
国際福祉機器展の様子を伝えるマスコミがこぞって取り上げていたのがこのWCV(ホールチェアビークル、(株)ワイディーエス)である。車いすから乗り換えることなく、簡単なレバー操作で車いすから直接乗降、そのままドライブできる、同社言うところの「自動車でもなくバイクでもない自由な新感覚ビークル」である。WCVはリチウムイオンバッテリーを動力源とするEVであることも注目された。カタログ値では時速30kmの低地走行で約25kmの航続が可能となっている。
車いすのまま乗降できるスペースを確保しているため、実物を見るとイメージしていたよりもビッグサイズであった。駐停車には十分な余裕を持つべきだろう。公道を走るためにはいくつかのブレークスルーが求められように見えたが、同社では2011年春の発売をアナウンスしている。まずはスーパーセンターのような巨大商業集積内における移動サービス向けとしてセールスしてはどうだろうか。