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2010年10月12日
第37回「国際福祉機器展 H.C.R」その3
■ホンダ モンパルML200
道路交通法において、電動カート(電動3・4輪車)は歩行者と見なされる。あんな大きな存在が…と思っていたが、このモンパルML200 を見ると納得できる。たいへんコンパクトなサイズ(幅は59.5cm)で、これなら歩行者や自転車と混在しても威圧感はないだろう。このままスーパーマーケットの店内に進入して買い物をすることもできそうだが、コンパクトとはいえショウケース前のスペースを占領、無用な事故のリスクもないとは言えないことから、店内での利用を認めている小売店はまだ出現していないそうだ。
運転免許は不要。時速6km/h以上は出せない決まりがある。ML200は家庭用コンセントで充電可能で、スペックとしては1回あたり25kmをカバーするという。坂道に強いのも売りのひとつで、実用登坂角度は約10度、急坂以外ならたいていの道を走破するのが売りとなっている。
■モバイルアルファ
上記「モンパルML200」をさらに小型・軽量化したのが(株)エスコの「モバイルアルファ」である。デザイン性よりも使い勝手を優先してり、大きな特徴は分解と組み立てがレバー操作だけで容易にできる点にある。これによって軽自動車でも積載が可能になり、移動先で必要に応じて組み立てれば、行動範囲が拡大できる。歩行に不安があっても、これを使えば安心というわけだ。
本機は三輪タイプと四輪タイプが用意されている。フル充電での走行距離は10kmだが、登坂能力はモンバルを上回る13度を達成している。また標準仕様として買い物かごが付属している(モンパルの場合、オプションで装着後はサイズから歩行者と見なされない)。
開発にあたっては買い物弱者の不便解消をかなり意識したという。なかでも買い物の足に困ってる高齢者の利用に配慮して、仕様面では簡単・コンパクトにこだわった。4輪サイズで244,000円の値付けだが、介護認定が受けると月々2000円程度でレンタルできるという。
こうして最新の介護福祉機器を見てきたわけだが、移動の自由、安全そして効率をどのように提供していくのか、個人がモビリティ機器で対応するには限界があることを痛感させられた。いくら価格が下がって機能が高度化しても、小売店が受け入れるのか、小売り空間でのトラブルはどうするのか等の課題に直面する。やはり、買い物弱者の解消における「移動の確保」では、関係する「公」空間と「私」が融合して、地域の生活問題として取り組むことが、現時点では基本公式なのであろう。