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2010年9月28日

農林水産政策研究所 食品アクセスセミナー第3回
「都市社会における<つながり>の位相とフードデザート」


日々の食料品購入が困難な“買い物弱者”の課題を検証しようと、農林水産政策研究所が開催している「食品アクセスセミナー」その第3回目が、2010年9月2日に開催された。今回は東京大都市圏におけるフードデザート問題をテーマに、「都市社会における<つながり>の位相とフードデザート」と題して行われた。
東京大都市圏の「郊外化と再都市化」という変化の下で、都市社会における人と人との<つながり>がどのように変化し、今後どのように変化してゆくのかを、フードデザート問題などと関連させながら考察した。講師は明治学院大学教授・浅川達人氏。

■郊外化の終焉と都市内地域特性の継続


まず、高度成長期〜バブル経済期の東京都市部の社会動態、自然動態の推移を考察した。
高度成長期である1965年頃から、東京への転入数よりも転出数が上回って「郊外化」が続いていたが、1997年から転入数が増加に転じ、「再都市化」した。高度成長期の都市部は工業化が進み、産業集団が集積していく。地価も高騰、このため住環境の良さを求めて、住宅は郊外に向かうことになり、人口も郊外で急増していた。
高度成長が終わり、京浜地区を中心に大規模な工場が地方へ移転すると、生産ラインは都心部から離れていき、脱工業化が進んだ。移転により生まれた土地にはマンションが建設された。
その後、地価の下落、容積率の規制緩和などの様々な要因により、現在の都心回帰、都心の再利用が始まったという経緯が説明された。
続いて、こうした状況を前提として、「〈つながり〉の位相」と題し、都会人の社会関係について、東京都の中でも古くからの住宅が建ち並ぶ下町、繁華街、ニュータウンなど様々なまちの“地域特性”について話が進み、地域社会毎につながりの位相が異なることに言及した。

■近所つきあいが希薄になると、健康被害のリスクが倍増


続いて、浅川教授が東京・高島平団地で進めている60歳以上の高齢者を対象とした生活実態アンケート調査から、食に関する実態と、ご近所づきあいとの相関についての調査結果が示された。
 高島平団地は1970年代から入居が始まった団地で、当時若年層が多く入居し、現在高齢化が進んでいる地域である。近隣にはスーパーマーケットもあり、買い物に不自由するようなエリアではない。この環境で、お隣とのつきあいを「村落的交流」「都市的交流」「交流なし」の3つの構造に分けて分析。交流がない層は食の多様性が低く、健康被害のリスクが2.26倍高くなるという結果が報告された。
アンケート結果は分析中とのことで詳細は明らかにされなかったが、フードデザート問題の解決には、商店の誘致や交通の整備のみならず、人間関係のつながりに着目して研究していく必要性が示された。

講演のあとは研究機関のほか、食品メーカー、NPO団体、テレビ局、出版社など多数の参加者と活発な質疑応答が行われ、この問題の関心の高さが伺われた。

次回、第4回「食品アクセスセミナー」は2010値10月14日、「高齢者の健康と栄養問題」と題して、熊谷 修氏(人間総合科学大学人間科学部教授)の講演が予定されている。




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