施策・活動の提案

第1回
自動車販売業(新車ディーラー)(2/6)

販売会社は減少するも店舗網は維持


(社)日本自動車販売店連合会(自販連)によると、2008年現在、加盟の自動車販売会社は1,393社、店舗数は15,992店、1社あたり11.5店を展開しています。02年に比較して企業数は約400社、店舗数で約1,000店の減少となっていますが、逆に1社当たりの店舗数は増加しており、合併・統合によって会社が整理されても、店舗の整理まではなかなか及ばない状況がわかります。

同年の経営指標を見ますと、04年をピークに低下を続けていた総資本経常利益率は08年に下げ止まり、売上高経常利益率は07年比で上昇に転じています。販売が不調でも店舗や人件費等の経費が減った分、財務は楽になったようです。
店舗は賃貸物件が41%で、新車販売店は90年前後のバブル時代に建設された店舗が多く、老朽化対策が必要な基準となる築20年の経過物件が30%を占めています。

同業界の「人」については、徹底した成果主義や時間を問わない“突撃営業”、体育会も真っ青なモーレツマネジメント等のイメージから(事実そんな過去もありました)、職業別信頼度調査では下位の常連という有様でした。退職率の高さも問題になりました。現在はそうしたモーレツぶりは影を潜めており、ほとんどの会社で突撃訪問営業スタイルはとっていません。


年間500万台の新車市場も先細り


エコ減税の支援もあって、新車販売は2008年リーマンショック後の最悪状態を脱して持ち直しつつありますが、2010年はエコ減税制度の終了などもあり、市場の収縮は再び加速する情勢にあります。おおざっぱに言ってバブル時代には年間600万台、その後は500万台の新車が売れていましたが、これが400万台の水準に落ちこむのが確実でしょう。景気が劇的に回復しなければ、恐ろしい市場規模になってしまうかもしれません。

以前のように堅調に新車は売れない。メーカーは国内市場の収縮を覚悟したようで、店舗網を過剰と見て整理・淘汰に取り組んでいます。例えばトヨタ自動車は5チャネルを4チャネルに再編する(ビスタ店をネッツ店に)、日産自動車は店舗運営を統括する機能を各地域に設立、各地の事情に応じた規模への整理を図り300店点以上を閉鎖、国内1,300店体制に絞り込むなど、身の丈を小さくしようと懸命です。


売れない時代は店舗革新は、機能の整理、絞り込みから


各社の店舗政策の方向性を大別すると、以下の3つに分けられます。

1.分離型

tenji1.JPG東京トヨペット運営の大規模中古車販売店「T-cuz昭島店」新車販売店は、大別して新車を見せてお客さまに説明するほか、コミュニケーションを活性化するための会話やイベントを実施するショウルーム、顧客からの下取車両などを販売する中古車展示場、販売したクルマのメンテナンスに対応するサービス工場そしてスタッフルーム、会議室、休憩室のようなバックオフィスで構成されています。

これらの店舗機能は、空間の規模に合わせて拡張・縮小しながらもすべてを配置してきたのですが、競争の激化で販売が滞るようになると、収益部門に店舗のリソースを集中するようになり、機能の分離が行われるようになりました。最も普及しているのが中古車展示場の整理と集約化です。中古車は別途、大型の専売店舗をオープンして、そちらに集約・販売するようになりました。また、自動車販売店といえばショウルームですが、近隣に複数の店舗が立地する場合、最も規模が大きい店舗に展示車と試乗車を集中させて、規模の小さなお店はサービス工場のみで運営という、営業活動の集約・効率化を意識した店舗展開も見られます。


2.融合型

ネッツ熊本.jpgネッツ熊本 店舗併設のカフェ滞在時のCS向上は、点検・整備の間に確実に待ち時間が生じる新車販売店にとって、重要なオペレーションになっています。来店は週末に集中しますから、担当の営業マンが顧客との会話に集中する暇もない忙しさです。そこで、スタッフの接客応対によるおもてなしが難しい状況でも、お客さまが疲労や不満を感じられないように、別の時間消費型業態といっしょになるやり方です。ポイントは、クルマ関係以外の業態で家族連れが楽しめる業態であること。店舗をGSMのテナントとして入居する、洋食レストラン(FC店)と一体型にする等の例があります。効果は抜群ですが、改装や改修レベルの投資ではなかなか実現できないのが難点です。完全に融合しなくてもお隣さんになればよいーー店舗のリロケーションは、SCやHCの徒歩圏でなければ実施しないという販売会社も見られます。


3.拡大型

image1153.jpg日産が経営母体の「カレスト座間」既存の店舗機能やそのままに、カー用品店やガソリンスタンドのような自動車関係の他の業態を取り込み、いわゆるカーライフの専門大店を目指そうというコンセプトです。クルマに関連する需要を確実に取り込んでいく、仕掛け網的な業態です。これですと、新車ディーラーでは扱ってはいない、しかしクルマ関連でニーズはある商品、サービスを手がけて、売上向上につながります。集客フックとしても期待できます。
ただし経営母体が異なると、働き方やコストの違い(尽きるところ企業風土の違い)から、事業的に不完全燃焼に陥るリスクもあるようです。

要は現況課題解決型の取り組みであって、規模、機能、テリトリーの再編が主眼です。残念ながら、相互扶助的な発想が入り込む余地はなさそうです。地域の繁栄や維持が、飯の種、クルマの販売と密着化しているというのに、足下を忘れて“自分だけよければ”病にかかって、自らの首を絞めているように見えてしまうのです。

このように店舗政策は、同一業界あるいは関連業態を巻き込む規模で進められています。しかし、店だけを整理整頓できたとしても、「“敷居の高さ”を解消して、話題の商品、良い商品を提供すれば、千客万来、にぎわいを創出できるほどお客さまは甘くありません。


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